曇り空の下、静かな林道を足早に歩く。                   だれかにずっと尾行されている・・・。

と、思い切って振り返ると、ちびっこ。

桜の葉を梢から毟ってあげたら満足して、跳ねて消えた。

みなまたみなまた、と東へ西へ呟いているからでしょうね。          風に乗って、いろいろな形のみなまたが辿り着いてくれます。         この日は、宮崎県より。

にんげんは、途方もなく愚かであり、残酷で残忍ないきもの。         しかし傍らで目が醒める美しいものを産む、天秤の両端を往来するように。   先人から学びはそれに尽きます。                      歴史は、単なる過去ではなく、予め告げられた現在なのです。

青天の霹靂、なんてことはあり得ないのですよ。 

てくてく歩く。                              澄みゆく大気にひたされ、稜線はますます青くて青い。            天上には、今世何番目の喇叭が鳴り響いているのやら。

もしもし、お口からはみ出していますよ。                  摘みたての若菜は、旨いよなあ。

息をするように菓子を焼いている。

散文も詩歌も拵えられぬわたしが綴る手紙のようなもの。           素材の囁きを借りて束ねた欠片。空白を満たす絵具。             彼らがいなければ、伝える術も無い。

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ぽってりとした紅が空から落ちてくる。                   惜しみなく咲いてくれた。 

また来年に。

今年は、筍の生り年とか。                         うり坊のように、一目散に野山から駆け下り玄関先にやってくる。       何かに似ているよなあ。 縞々の毛並みやらむっくりした佇まいやら。

ああ、そうか。あなたね、はな子さん。                   先祖は深い森に棲んでいた、背筋から立ち昇る、山の気配。