梅雨の気配に、そわそわする。梅仕事に取りかからなきゃ。     

ぬばたまの黒髪うつくしきM嬢から、捥ぎたてを受け取る。

今年も会えた、翡翠色。

眠るために生きているのだな。                       曇り空の下の眠りは、こんこんと深い。                   どこまで潜っているのやら、ぷるる、と髭が震えた。             なにを見たかなんて、ちっとも教えてくれやしない。

にんげんがおろおろしている間に、ふっさりと芍薬がご挨拶。         草木のほうが、余程しっかりとしている。

お茶を淹れて差し上げるのは、とてもうれしい。               お供は、きんつば。

すうっと風が、吹き抜けて行く。

対岸の火事は、のんびりと眺めている。                   己の踵に火がついていると気づいたら俄かに動きだす。            使う道具は遷り変わっても、ひとの本質は変わらぬもの。

もう忘れたようですね、311。                      降り続ける放射能をまいにち食べているわたしたち。             彼の地で住まいを永劫に失った方たちや、人生からはぐれてしまった方たちに、終わりを告げることなど出来ようか。 浮かれることなど出来ようか。

いつだって、惨事を終わらせたいと画策するのは誰か、辿らねばなりません。 

曇り空の下、静かな林道を足早に歩く。                   だれかにずっと尾行されている・・・。

と、思い切って振り返ると、ちびっこ。

桜の葉を梢から毟ってあげたら満足して、跳ねて消えた。