昆布…。
お菓子の材料のひとつ、こんぶ。
使おうとして切れていることに気づき、一番慌てふためく食材は、こんぶです。
そしてそれはいつも真夜中。ああ。海が近かったらなあ。とりにいくのに。
街ではそうもゆきませぬゆえ、乾物屋までひとっぱしり。
ゆるゆると、お日様がのぼるのを待とう。

本日にて「garden」おひらき。
会期中は早朝から、どこどこ焼きはじめ、
せっせと袋詰めしたのち、
恵文社までだだーっと走り、
ざざっと搬入して、
ぴゅっとアトリエへ戻り、
夜更けまでもくもくと仕込み…の毎日でしたので、
すれちがいのお客さまも多くおられたのではないかと。申し訳なく。
はるばるとお越し下さいまして、本当にありがとうございました。
またお目見えかないますように、ただただ、できることを続けて参ります。

京都・恵文社での「garden」展が始まりました。
ぽっちり小さなフェーヴを忍ばせたタルト、並んでいます。

夜、きんつば仕込み最中にプルルル…と電話のベル。
張りのある、お菓子の注文を告げる声の先は、
午後4時のドイツなり。
ドイツ…。
ドイツ!
ヴィム・ヴェンダース。ゲルハルト・リヒター。ピナ・バウシュ。
あんこに戻っても幸せな断片が頭をめぐる。
美味しいもの、ご用意いたしますね。
ありがとうございます。

風が吹き、ひんやりとする京都。
育った北の街の今時分によく似ているので、なんだか懐かしい。
水俣から甘夏みかんが届く。
風雨にさらされた渋い面構えの子らがごろごろ出てきた。味はとびっきり。
よきこともわろきことも、とどのつまりは人の手が生んでいるのだなぁと、
ひとりごちて、甘夏の皮をひたすらに剥ぐ。
香りに励まされる。