どうか、握りしめた掌をひらいておくれ。                  砕けた抜け殻が、舞い散るよ。                  

その音、体温を帯びた言葉。                        いまこそ聞かせておくれ。                         わたしの骨の耳に。     

オレンジのキャラメルケーキ。                       この味がお気に入りのAさん、Bさん、Cさん、Dさん・・・Wさんの顔が、ふわふわと浮ぶ。                                

大好物だったSさんは、すうっと空へ還られた。               まだ店舗の無い流浪の菓子屋だった青い頃から「まめすずさんのお菓子は美味しいわよー、大丈夫」と、もぐもぐ頬張りながら支え続けて下さった。

病状を尋ねても、にっこり笑って「そんなことを話しては、心が暗くなるばかりでしょ。それよりも、最近良い本を読んだのよー!」と柔らかくはぐらかして、専門の文学や絵画、映画の素晴らしさを次々と語られた。豊かな刻だった。    「私を思い出す時は、どうか泣かないでね。お馬鹿さんな失敗話をして皆で笑って頂戴ね」というのが遺言だと、近しい方が涙をこぼしながら伝えてくれた。

ふいに空が暗くなり、やがて雨音が響き、にわかに突風が吹きすぎると、戸惑う小さな風が玄関扉を開けてゆく。ああ、これは何方かが食べに来はった、と表を見やり、きっとキャラメルケーキだろうなSさんなら、とひとりごちる。

もう今生で会えぬ人は遥か遠くへ発ったわけではなく、わたしが忘れ去った時に、本当に手の届かない彼方へ、きっぱりと渡ってしまうのだと思っている。

・   

変わらぬご贔屓、ありがとうございます。                  24日(月)は祝日ですけれども休業日とさせていただだきます。この連休は梅の花を愛でに出かける方もいらっしゃるでしょう。               どうぞ穏やかな時間をお過ごしくださいませ。

.

.

.

.

お元気でお過ごしでしょうか。近頃は、不安や恐れが増す報道が続きますね。

きっと「腎」も弱って来ていることでしょう。補うためにも、まずはきちんと食事で栄養を摂って下さいね。お味噌汁は忘れずに。そして、大地に根をはり生き抜く、冬の根菜類も欠かさずに。怯える心は判断も誤らせます。見つめなくてはならないものを取り違えないでいたいものです。                 そして、ほんの少しのお手伝い、人参をたっぷり焼き込んだお菓子をおやつにどうぞ。

まめすずは、いつもどおり。

















今年も、ごろんと届きました。熊本・水俣の畑から。

年経るごとに、旬の到来がますます有り難く感じます。暦から身体が引き剥がされてゆくような変動の中で、太陽を浴び、きちんと実ってくれることが、うつろう日々の錘になってくれているのです。

柑橘菓子のはじまり、腕が鳴ります。

絶品ネーブルオレンジのたわわに実る、広い広い福島さんの畑。