あんまりにも 歌が好きだから
もう にんげんの身体は心底重たかったのだろう
喉が張り裂けるまで謳っておくれ
シューマンやらブラームスやらシューベルトやらベートーヴェンやら
予め記された旋律に囚われず
今は あなたの諧調で
庭の椿の梢にでも ひらりとお越しを
さえずりで それとわかるから
茫然とするほどに我儘だった
鈴の音のような笑声と
あたたかな掌を持ちながら
音符に埋もれるようにして消えたあなたを
きっと だれも詠わない
わたしが詠う