風が吹き、ひんやりとする京都。
育った北の街の今時分によく似ているので、なんだか懐かしい。
水俣から甘夏みかんが届く。
風雨にさらされた渋い面構えの子らがごろごろ出てきた。味はとびっきり。
よきこともわろきことも、とどのつまりは人の手が生んでいるのだなぁと、
ひとりごちて、甘夏の皮をひたすらに剥ぐ。
香りに励まされる。