市場の隅に小さいスープ屋があった。
きりりとした仕上げが潔く、すっかり参る。
大きな深皿から、夢中でスプーンを口に運ぶ。
いのちのもとが溶け込んでいて、弛んだ身体にがつんと効いた。
あんなに色っぽいスープを、どしどし拵えていた寡黙なおじさん。
息災であれかし。
せっせと通った日々を憶う。
夏が逝く。