きみたちが産まれたのは、去年の今ごろ。
もも子かあさんが、ゆっくりと時間をかけて産んでくれた。
1時間に1匹づつ。うまれてまもなくは鳴き声もたてない。
もぞもぞ、もぞもぞ背中が揺れるだけ。
いまは、あんなに好きだった母さんのことも忘れて、幸せに生きている。
忘れるというのは、与えられた場所で生き抜く術だと、仔猫は教えてくれた。
手放して、その身一つで飛び込んでゆく。
もも子母さんは、ストーブの前で欠伸。