「第一回 旅するカタリとお友達 奈々福笑い」にお越しくださいました皆々様、誠にありがとうございました。店内は満員御礼、ぎゅうぎゅう。至らぬところも多々ありましたが、これは次回への宿題とさせて頂きたく存じます。

作家の姜信子さん、説経祭文の渡部八太夫さん、浪曲師の玉川奈々福さん、曲師の沢村さくらさん。沢山の公演を抱える中、この小さな町屋に集まって下さった稀有な夜でした。

帰り際、ぽつりとつぶやくお客さま。「そういえば、近頃は大きな声を出すってことを忘れていたわ。仕事場でも声は潜めているものねえ」           響きを伴わずに伝達する機器に囲まれているせいなのでしょうか、はたまた無関心なのでしょうか、深い呼吸も、お腹の底から笑うことも、想いを歌に乗せることからも遠くはなれ、生身のからだを生きている実感から遠のいているように思うのです。

旅するカタリの一座は、そんな失われてゆく声の行く末を深く案じておられるのかもしれません。次はどんなお友達を連れて来てくださるのでしょうね。

ぽろりと落ちた鬼の爪や、角や、拵えていると猫の抜けた乳歯にもみえてきた、中身は美味しい柚子の味。当日みなさまへお配りしたお菓子のひとつ。