林檎のタルトをたいらげた後に、「うちの母の菓子を思い出した」と言われる。
もう随分前に天国へ発ったけどね、と口を開いてくれた彼の祖国はドイツ。
そうか、バターではなくて、なたね油。
クリームではなくて、豆乳。
卵も使ってなくて、葛粉で、小麦の粉ではなくて、米の粉だけど。
これが、ドイツのおかんの味とは如何。
たっぷりのアーモンドと、メープルシロップとスパイス、ぎっちり詰めた林檎。
滋養を摂って健やかに、という思いの満ちた仕上りが、おかん風なのかもしれない。
庭で採れる林檎を使って作るんだよ、と幸せそうに教えてくれた。